こんにちは、ムギです。
今回は「創作から探す”理想のリーダー”」をテーマにお話しします。
ここ最近は『君主論』のような古典やらリーダーシップ論など理論を中心に話していきました。”理想のリーダー”を目指すにはそういった知識は必要ですが、もっと近くに良い手本があればさらに良い。
ということで、小説や映画、漫画などに出てくる登場人物の中から僕が”理想のリーダー”だと思う人物を3人ピックアップしました。
一人目:国岡鐡造(『海賊とよばれた男』より)
『海賊とよばれた男』は『永遠の0』と同じく百田尚樹著の映画化もされた小説です。
戦後の日本を舞台に、GHQに監視されながらも、国岡鐡造率いる国岡商店の面々が家族のため、社員のため、そして日本の復興のために”石油”を求めて奮闘するさまを描いた作品です。
この国岡鐡造にはモデルがいて、出光興産の創始者・出光佐三だとされています。小説でありながら、実際の歴史を元に作られたのです。
この国岡鐡造の精神は社員は”家族と同然”だということ。社員を信じ、800名規模の大企業であるにも関わらず、就業規則や出勤簿がないのも一例です。
そんな国岡商店ですが、終戦直後に大手企業であるにも関わらず収入源である石油が一切なくなってしまいます。そんな時鐡造は自分の大切にしていた物を売って社員の給料にし、何でもやりますと社長自らが出稼ぎに行きました。そして会社の都合で社員をクビにすることは一切してはならんと決めました。そして、敗戦により絶望している社員達に「日本人はまた立ち直れる」と叱咤激励しました。
国岡鐡造の格好いい台詞はいくつもありますが、その中でもすごく印象に残った場面があります。それは自分の財産をほぼ売らなければならないかもしれないと妻に話す場面。
鐡造「乞食をすることになるかもしれんぞ。」
妻「鐡造さんも一緒にやってくださるのでしょう。だったら、平気です。」
この台詞からも鐡造と妻との関係性が分かるし、上に立つ者の覚悟と器の大きさが見てとれる場面です。
二人目:長谷川平蔵(『鬼平犯科帳』より)
ドラマ化、漫画化、アニメ化もされた池波正太郎著の連載小説の代表作。”鬼の平蔵”と盗賊からも恐れられる鬼平こと長谷川平蔵と火付盗賊改方の面々、密偵たちの活躍を描いた作品です。
剣術がすごい、勘が鋭い、人情にあつく悪には容赦ないという時代劇の主人公によくある設定でありながら、人の使い方が上手いのも長谷川平蔵の特徴です。
それは彼自身が昔はどうしようもないヤンチャだったというエピソードもありながら、”本当の悪”というのを理解しているからと言えます。
平蔵「悪を知らないやつが悪を裁けるか」
これは池波正太郎さんの作品全般にいえることですが、人は良いことをしながら悪いこともする、黒か白かで決められるものではないという基本概念があります。
だからこそ、鬼平の中で一際光るのが”密偵”の存在です。いわゆる昔盗賊だったが捕まり、改心した者の中から町に戻るかわりに他の盗賊を見たら報告し、捜査の協力をするというもの。いわば盗賊からすれば”裏切り”行為であり、分かればただで済まない。
それでも密偵になる覚悟をするのは平蔵の人柄ゆえ。悪には容赦ないが、改心すればしっかり自分の部下として面倒を見てくれる。そんな信頼感がそれぞれ感じられるのです。
また、エリート集団のように思われる火付盗賊改方にも会社的にどうしようもないやつがいます。うさちゅうの愛称で呼ばれる忠吾や平蔵の息子・辰蔵です。剣の実力はないばかりか稽古も不真面目、女遊びにばかり金を使うという有り様。
しかし、良い上司・親の下だとこういう人間すらも可愛いやつにみえてしまう。平蔵はこういった人間の心境も見抜きつつ自分の望む方へ引っ張ってしまうのだから人も使いようなのだと教えられます。
三人目:ゴブリンスレイヤー(『ゴブリンスレイヤー』より)
ここで気色の違うものが登場。こちらは蝸牛くも著のオンライン小説およびライトノベル作品です。アニメ化、漫画化もされました。
いわゆる”異世界もの”ではありますが内容はかなりダーク。ゴブリンによって村が襲われ、自分の姉を目の前で殺された主人公が復讐の一心でゴブリンだけを狩り続けランク上位の冒険者になる。そして、ゴブリンの魔の手から助け出した女神官とゴブリンスレイヤーの噂をきいたパーティーと一緒になってまたゴブリンを狩り続けるというお話。
ゴブリンというと最弱モンスターという印象が強いかと思われますがこの世界ではかなり恐ろしく描かれていて、苦手な方もいると思います。内容としては面白いので1巻を読んで平気な人は読み進めてみてください。
そんな『ゴブリンスレイヤー』という作品ですが主人公のゴブリンスレイヤーも他の異世界もの主人公とは違うタイプです。
表紙をみてもらえば分かりますがまず顔を出さない。全身を防具で包み、しかもその防具も小汚い。実はすべて意味があるのですが、当然ほかの冒険者からは馬鹿にされます。
そして、ランク上位にも関わらずゴブリン退治の依頼しか引き受けません。周囲からは「変人だ」「ザコ狩りばかりしている」と言われます。
ゴブリンスレイヤー「俺は世界を救わない」
彼は世界の危機よりも村が滅ぼされてしまうことを危惧し、自分の役目としています。ゴブリンを放っておくことの危険性を理解し、自分にできることを理解しているからです。彼は決して報償金で仕事を選ばず、出世欲もありません。
彼の実力はというと正直すごい強いというわけでもありません。いわゆる必殺技のようなものもなければ、魔法が使えるわけでもありません。
彼の強みは分析力と準備力によります。
ゴブリンを相手にすることは相手の住みかの洞窟に入り多勢を相手することになります。罠を張っていたり人質がいたりします。そして、リーダー各の大きいゴブリンもいれば魔術を使うものも中にはいます。
だからこそゴブリンスレイヤーはあらゆることに対処できるよう武器やポーション、毒薬を用意し、そしてできるだけ効率よく始末できるよう準備を整えます。また、仲間の魔法や武器がどれだけ使えるかを把握し、適切に使うところの指示を出します。”戦略”での勝負が主体なのです。
「俺のポケットには何がある?」
彼の師匠の言葉ではありますが、ゴブリンスレイヤーは常にこの言葉を元に行動します。予想外の状況が起きた時も、チームの状況、自分がいる場所、相手の戦力、自分の手持ちを考え「問題にならない」といって冷静に判断しピンチを切り抜けます。
だからこそ、変わり者であってもチームから信頼され、彼に関わった者からもあつい信頼を得ています。そしてそういった人との関わり合いのなかで彼自身の心境も少しずつ変わっていくのです。
そんな彼の夢が「冒険者になること」というのも面白いです。
さていかがだったでしょう。
世界線の違う3人ではありますが、3人共通しているのが「格好いい」ということ。もちろん皆さんの中にもそれぞれ格好いいリーダーというのはいるでしょう。
こういった創作の世界から「良いリーダー」を学ぶのも良いのではないでしょうか?
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