こんにちは、ムギです。
今回は「アンガージュマン」をテーマにお話しします。
「人間は自由の刑に処せられている。」
この言葉を述べたのは、フランスの哲学者であるジャン・ポール・サルトル(1905年〜1980年)です。サルトルといえば実存主義(実存は本質に先立つ)で有名ですが、そのサルトルが提唱した概念として「アンガージュマン(engagement)」というものがあります。
「アンガージュマン」は日本語では「参加」「拘束」「関与」などと訳されます。ただフランス語のアンガージュマンは単に「関わる」ことではなく、”自らの信念や倫理に従って、社会や政治に責任を持って行動すること”を意味します。
サルトルは「私たちはどのように生きるべきか」という問いに対し、このアンガージュマンを唱えました。
上記の「人間は自由の刑に処せられている」という言葉にあるように、「自由」は必ずしもポジティブな意味だけではありません。人々は様々な選択肢を自由に選び取れますが、選択した行為に伴う責任を自分で負わなければなりません。
では人々は何をもって選択するのか、何を目的に生きていけばいいのか。それに対する答えこそが”アンガージュマンする”ことだとサルトルは言います。人間は自身の行動だけでなく、この”世界”に対しても責任がある。つまりは社会参加をし、自らの自由を拘束せよ。それがサルトルが考える、自由を最も活かす方法なのです。
これは、世界大戦という大きな戦争を経験したサルトルだからこそ出た考えなのかもしれません。今起こっている戦争を”私の戦争”として捉えることができるか。それこそがアンガージュマンという概念を表す例示になっています。
そこからアンガージュマンは主に政治的な活動に関わることを意味するようになりました。
いつの時代にも言えることかもしれませんが、特に現代では政治に無関心ではいられても、無関係ではいられない時代になっています。
これからのネット社会・AI時代において個人が選ぶ責任はますます重くなっています。民主主義を悪用されないためにも、私たちは「観客」ではなく、「プレイヤー」であるという意識を持つことが大切なのです。
とはいえ、じゃあ具体的にどうすることが、アンガージュマンと呼べるのか。以下に具体的行動を示していきます。
1,選挙に行く、候補者の政策を自分で調べる
「誰に投票すればいいか分からない」ではなく、”知ろうとする姿勢”こそが関与の始まりです。
2,SNSで社会問題について拡散する、感想を共有する
リポストやリツイート、いいね一つの行動から、私は無関心ではないことを示すことができます。また、最近では寄付やクラファン、署名などの呼びかけがあります。自分が応援したいと思ったものに対し自分のできる範囲での協力をしてみましょう。
3,社会的テーマの本・映画・ドキュメンタリーを見る
知識を得ることが無関心からの脱却になります。より興味を持ったら街頭演説や市民集会・講演会に足を運んで見るのも良いことです。
4,身近な人と「社会」について話をする
家族や友人と政治や社会について話すことも立派な社会参加です。特に日本では政治の話は疎まれる傾向があります。政治の話をすることは嫌なことでも恥ずかしいことではありません。たとえ応援政党が違っても議論を恐れてはいけません
5,不当な差別やデマに対して「それは違う」と言う
無言は同意を表します。沈黙しないことが小さな抵抗であり、アンガージュマンなのです。特に意見を言いたいと思ったならSNSで言うだけでなく、地方議員・市役所・省庁などに意見書を送ってみるのもよいでしょう。
6,「知らないこと」が出てきたら、自分で調べてみる
今のSNS社会において特に重要なことかもしれません。情報を鵜呑みにせず、「私はどう思うか?」を考える姿勢こそが知識人のアンガージュマン。時にはあえて反対意見を聞くなどして、自分の知識や考えが偏らないようにしましょう。
これらの行動のコツとしては、完璧を目指さないことです。100点の行動ではなく「10点の行動を10回」と重ねることが重要です。そして、何より今の社会に対し「疑問」を持つこと。それだけであなたはすでに社会に参加しているのです。
アンガージュマンは誰かを救うことではなく、自分が眼の前の社会と無関係ではいられないと認めることなのです。
「私たちは、自分たちが選ばなかった世界に生まれ落ちた。
だが、それを変える責任は私たちにある」
このようにサルトルは示しています。
今まで生きていく中で政治や社会に対して不満に思うこともあるでしょう。不平等や不条理に思うこともあったでしょう。もしかしたらそれに対し無力な自分を攻めていた人もいるかもしれません。
皆さん一人一人の力は小さいけれど、無力ではありません。自分ができることはまだまだあります。何も政治家にならなければ社会や政治を変えられないわけではありません。
よりよい社会にするために、そして「未来の子どもたちが選びたくない世界」にしないためにも、今できることから始めてみませんか。
