こんにちは、ムギです。
今回は「コンコルドの誤謬(ごびゅう)」についてお話しします。
何事にも”引き時”や”止め時”がありますが、これをきちんと判断したうえ、さらに実際に止められるには理性と勇気が必要です。個人の問題はもちろんですが、それが企業や行政など組織が大きくなるほどさらに難しくなります。
”止める”ということができなければ個人であれば金銭面で損をするばかりか、健康面にまで問題が発生します。企業であれば赤字となり、最悪の場合倒産にまで追い込まれる事態に。行政であれば取り返しのつかない事態になります。
こういった時に誰もが「何でもっと早く決断(対処)できなかったの?」と言います。
しかし、実際に決断する立場になってしまうと、その正しい判断ができなくなることもあります。
そういった引くに引けない状況を表した言葉に”コンコルドの誤謬”というものがあります。心理学では「コンコルド効果」、経済学では「サンクコスト(埋没費用)効果」と呼ばれています。
”コンコルドの誤謬”とは、「ある対象について、これ以上金銭・時間・精神的なエネルギーを注ぎ続けても無駄になることがわかっているのに、それまでの投資を考えると惜しい・もったいないといった気持ちが湧いて止められなくなる状況」のことを言います。
この言葉の由来になった「コンコルド」とは、1960年代、フランス・イギリスが共同開発し、1969年に初飛行された超音速旅客機の名称です。マッハ2.2と通常のジェット機の3倍の速度を出せることから、夢の旅客機として期待されており、莫大な経費と開発期間をかけて試作機が作られました。
ところがそのデモンストレーション飛行中に重大な騒音問題が発生しました。さらにそのタイミングで追い討ちをかけるようにオイルショックまで発生。燃料費が高騰したことにより、予約していた航空会社から相次ぎキャンセルとなりました。
しかし英仏両国は開発を中止しませんでした。
「もっとつぎ込めば取り戻せるはずだ」
「今度こそきっと上手くいく」
「ここまで投資しておいて今更止めるなんて恥だ」
1976年にコンコルドは営業就航を開始しましたが、結果的に(というより想像通り)大失敗に終わり、その年のうちに製造が中止となりました。原因は旅客運賃が他の航空会社のファーストクラスよりも高額になってしまったこと、騒音の関係で就航を拒否する国も多かったことが挙げられます。
以上の話から「コンコルドの誤謬」として広く使われる言葉となりました。
期待される結果が追加投入するリソース(資源)と見合うかどうか。
こういった場面において必ず「計画書」というものがあります。実際に始まる前に作った計画書通りに行くことなんてほとんどないでしょう。そのうえで想定よりもコストがかかってしまうようなら作成し直して今後のシミュレーションを行う。そうすればある程度その事業がこの先成功するか失敗するか判断できるはずです。
だから計画する時点で上手くいかなかったことも考え、途中変更の聞くようなシステムにすることも「コンコルドの誤謬」を防ぐ手段となります。全部が全部決めすぎず、検討の余地をある程度残しておくことも必要です。
しかし、ある程度大詰めのところまで計画が進んでいった場合にネックになるのが今までかけてきたコストと時間、そして期待値です。
計画に携わっている人ならなおのこと、その計画のためにどれだけの労力をかけてきたか分かっていますし、失敗したなんて周囲に言いたくないでしょう。一方、これ以上続けていても大損することはその当事者が一番分かっているのも事実でしょう。損が少ないうちに引けるか引けないか。
今までの労力・努力を水に流しても、”失敗”を認めて撤退できるか?例えるならお金は会社にとっての血液。その流れていく血液をいかに早く止血できるか?
その”判断”こそが重要です。
シリアル起業家として多くの会社を成功させたナヴァル・ラヴィカント氏は「”努力”は過大評価されている。逆に過小評価されているのは”判断”だ」と言います。
人生の成功者と言われる人達は皆この”判断”ができた人と言えます。そしてこの”判断力”を磨ける人がいい成果を出せるのです。
たしかに努力は大事。しかし、努力の方向性・やり方を間違えていたら望んでいる成果も出ない上に大事な時間も浪費してしまいます。
判断の基準は様々な人の意見を聞きつつ、しっかり自分の頭で判断できるようにしましょう。それこそが「コンコルドの誤謬」を防ぐため、何より自分の組織を守ることに他ならないのですから。
「Go!」という判断を出すのもリーダー。しかし、これ以上行くとまずいと思った時に「Stop!」の判断を出すのもリーダー。
時には”止める”勇気も必要なのではないでしょうか。
参考文献
