”平等な”社会は実現できるか

こんにちは、ムギです。

今回は「ジョージ・オーウェル氏の著書から学ぶ」をテーマにお話しします。

ジョージ・オーウェル氏(本名エリック・アーサー・ブレア)はイギリスの植民地時代のインド生まれのイギリス作家でありジャーナリストです。

その著者の代表作『一九八四年』は情報統制、歴史改竄が進んだ未来を描いたディストピア文学です。「戦争は平和なり、自由は隷従なり、無知は力なり」のスローガンを掲げた《ビッグ・ブラザー》に支配された世界を、主人公のウィンストン・スミスを中心に描いた作品です。ちなみにタイトルはこの著書を発表した1949年から見た未来を表しています。

フィクションでありながら、もしかしたら本当にこんな世の中になってしまうのではないかというリアリティが感じられます。だからこそ、今もなお多くの国で読まれ続けているのです。

そしてその『一九八四年』の前に著者が発表したものが『動物農場』です。

『動物農場』は、農場主を追い出すことに成功した農場にて、賢いブタを中心に動物たちにとって理想の農場にしようと取り組むが…というお話です。

物語の中で、動物達は以下の決まりを作ります。

七戒

1、二本足で歩くものはすべて敵である。

2、四本足で歩くもの、あるいは羽根があるものはすべて友だちである。

3、動物は服を着るべからず。

4、動物はベッドで寝るべからず。

5、動物は酒を飲むべからず。

6、動物はほかの動物を殺すべからず。

7、すべての動物は平等である。

『動物農場』より

これはまさしく動物たちにとって「階級差別と貧富の差が消えた輝かしい理想の農場」の理念を掲げたものです。

しかし、リーダー格の二頭のブタの意見の食い違い、そして片方の”排除”により、この絶対的理想も現実も大きく崩されてしまうのです。

この著書は”おとぎばなし”のサブタイトルが付けられ、内容だけなら子供でも読める話になっています。しかし大人が読めば、これは明らかにある”思想”のこと、さらには「ソヴィエト神話」への批判を表していると分かります。

この物語上に起こる出来事も、独ソ不可条約の締結や「テヘラン会談※」など実際の歴史上に起きた出来事を表していることが読み取れます。

そのためか、著者が『動物農場』を出版社に持ち込んだところ、4社から断られたと同著の『出版の自由』にて語られています。当時の情報省により圧力を加えられたのではないかと著者は推測します。

日本は憲法により検閲を一切禁止にしているのでまだ良いのですが、国家によっては検閲が行われたり、情報統制・言論統制されたりすることもあります。ましてや戦時中であれば取り締まりはさらに厳しいでしょう。

それでも著者のジョージ・オーウェル氏は諦めずに脱稿から一年半かかりながらも結果的に5社目で出版が認められました。それを皮切りに各国で翻訳され、ベストセラーになりました。ちなみにその翻訳された国のなかにはウクライナも含まれています。

”思想”や”主義”、”政治体制”に関して主張することは難しいものです。ましてや現政権や他国のことの批判となるとさらに難しい。

そういった国家こそ、フィクションやジョークの中に本当に言いたいことを混ぜることもあるそうです。だからこそ、こういった文学やその他の表現物も含め、政治的圧力やキャンセルカルチャーによって排除されてはいけないと思います。こういった表現物が世界で読まれる(聴かれる)ことが望まれます。

そういった意味でも、差別や経済について真剣に検討されている現在の日本にこそ、『一九八四年』、『動物農場』はぜひ読んでほしい作品だと思います。


明らかな政治批判をしているこの本は出版されるべきだったのか?その問いに対し『出版の自由』の中で著者はこう述べます。

ここでかかわってくる問題はじつに単純なものだ。

すなわち、すべての意見は、いかに世間で評判が悪くても

―さらには、いかにばかげたものであっても―

聞くに値するものなのかどうか、ということだ。

岩波文庫『動物農場』、『出版の自由』より

理想を掲げるのは良いことですが、その際に起こりうるデメリットや事例を考えずに、反論する相手を差別主義者と決めて批判するのは間違っています。反論する側もそれに感情的になって攻撃したり、きちんと反証できずに反論したりしてはいけません。「差別をなくすのよいことだ」「貧富の差がなくなるのはよいことだ」と言って、当事者のことを知りもせずに無条件に肯定することも違います。それが”聞くに値する”意見の発信です。

批判しにくいところにもきちんと批判が行く。それが正常のことだと思います。賛成も反対も、その意見が聞くに値するものか見極められるよう情報の受け手も学ばないといけませんね。


参考

※テヘラン会談
連合国の第二次世界対戦による対独攻勢について話し合われた会談。カイロ会談に続いて行われテヘラン会談は、1943年11月28日から12月3日まで実施されました。参加者はアメリカのフランクリン・ルーズベルト大統領、イギリスのウィンストン・チャーチル首相、ソ連のヨシフ・スターリン書記長及び各々の補佐です。

5分でわかるテヘラン会談/背景と内容、ヤルタ会談も含めて分かりやすく解説/ホンシェルジュ

Amazon/『一九八四年』ジョージ・オーウェル著

Amazon/『動物農場 おとぎばなし』ジョージ・オーウェル著/川端康雄訳

※上記の岩波文庫の『動物農場』には、紹介した『出版の自由』と『ウクライナ語版のための序文』も含まれていますのでオススメです。

投稿者: 麦ブログ

介護施設の事務員として働いてます。現在行政書士資格取得のため勉強中。

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