僕が調理師専門学校時代に入学したばかりの頃のお話。
専門学校に入学してから、始めの1ヶ月はずっと座学。やっと調理実習が始まったと思ったら包丁の研ぎ方、切り方、出汁の取り方からの講習でした。基礎が大事とはいえ、つまらない授業が続いていました。
そしてついに料理ができるとなって皆が喜んでいた洋食の調理実習。記念すべき最初の科目が「サンドウィッチ」と「ココアとバナナのジュース」でした。
実習は、まず先生のデモンストレーションを見ながら事前にレシピを書いたノートに行程やポイントをメモし、終わったら班ごとに実際に調理を始めます。
同じ班のメンバーが包丁を使いテキパキと作業を開始し、僕はたまごサラダに使うマヨネーズを作る担当になりました。
この時、僕はある事実に気がつきました。
「クラスの皆、結構料理できるやん、俺以外。」
そう、僕は調理師学校であるべき初期設定から間違っていたのです。
僕は家庭ではたまに料理本を見ながらおじいちゃんにご飯を作る程度。ラーメン屋をやりたかった僕は、調理技術や知識を学ぶために調理師学校に入りました。
しかしよく考えてみれば分かることですが、そもそもそんな程度のやつが調理師目指す訳もなく、料理が趣味で、家族や友達に料理をふるまえるような輩が本来調理師学校に来るのです。
だからこそ、包丁の使い方やスープの取り方では目立たなかった初期設定の実力の差が、最初の調理実習で露見してしまったのです。しかも、同じ班になったヤツがとびきりできる二人だったのです。
そんな自分が作ったマヨネーズは乳化せず、ダラダラの油っぽくて水っぽい典型的な失敗作のマヨネーズが出来上がりました。先生が見に来てくれましたが「どうにもならないね」と言われました。
そんなマヨネーズで作ったサンドイッチは「ハーモニー」と呼ぶには程遠い、何もかも分離している「パン(マーガリンの塗られた)とぼそぼそ玉子がちょっとくっついているやつ」になりました。(味は聞かないでくれ。)
「ああ、俺はこれから調理師になれるのか?」
そんな不安を感じながらも、他のメンバーが作ったハムサンドとココアバナナジュースを美味しく頂いていたのを、今も覚えています。

