”取引コスト”、どうにかならんのか?

こんにちは、ムギです。

今回は経済学の分野から「取引費用理論とホールドアップ問題」をテーマにお話しします。

「取引費用理論(TCE:transaction cost economics)」は企業や組織において行われる”取引”とそこで発生する”コスト”を最小化するにはどうするかを考える理論です。

「取引」と一言でいっても広範囲です。具体的な流れとして、

開発設計⇒調達(原材料・人材等)⇒生産⇒流通⇒販売⇒保守・サービス

が一般的なモデルです。あなたの企業がどの範囲を行うにせよ、その”⇒”の間で他の企業と取引を交わし、それには少なからず「費用(コスト)」がかかります。そのコストを少しでも抑えて消費者・他の企業が手の届く範囲内の価値で販売するため、若しくは他の競合企業と差別化するために経営側は考えているのです。

ここで「取引費用理論」の大きな考えとして、「人の将来を見通す認知力には限界があり、人はその限られた将来予見力の範囲内で合理的に意思決定を行う」ということがあります。

難しいことを言っているようですが、今まさに予見しがたいことが起きていますね。新型コロナウイルスによる世界的な感染爆発から始まり、原油価格の高騰、ロシアとウクライナとの戦争による世界情勢の悪化により、私たちの市場も大きく影響を受けています。これまでの出来事を予見できた人は少ないはずです。

だからこそ、少しでも先を読み、臨機応変な対応をしていく必要があるのですが、企業となるとそれもなかなか難しい。ここで問題になってくるのが取引費用理論の主な課題である「ホールドアップ問題」です。

「ホールドアップ問題」はWikipediaの分かりやすい説明を借りると「いったん行われてしまうと元に戻すのが難しい」という問題のことです。特に「交渉相手の強さを増してしまうような投資に関して」この問題は起こります。

「取引費用理論」によると、この問題には1つの大前提と3つの条件があります。

大前提:機会主義
 人・企業は合理的な意思決定として、相手を出し抜いてでも自分に利益のある行動をする。どの企業も「自社のために相手の足下をみる」可能性があるということ。

条件:
①不足事態の予見困難性
 「不足の事態」の予見の難しさ。これには時期的なものと環境的なものがある
②取引の複雑性
 将来の不足事態を見通した契約を結べず、いざ需要が急伸したり、不足の事態が起きた時にかえって契約に縛られてしまう。
③資産特殊性
 2社のビジネス関係において、一方の企業のビジネスに不可欠な「特殊な資産・技術・ノウハウ・経営資源」などがもう一方の企業に蓄積されることを指す。

この中の「資産特殊性」が一番イメージがつきにくいかもしれません。要は「今の取引先に不満があり正直替えたいが、何だかんだ他よりも一番コストが安かったり、そこでしか発注できないようなものであったりで、結局そこに頼るしかない」といったモノ・ことです。皆さんの職場にも似たようなことはありませんか?

このような「ホールドアップ問題」が発生したとき、企業はどうするのでしょうか?

もちろん、1つには「継続する」という選択肢もあるでしょう。しかし、このまま相手方に逆らえないような状況が続けば、こちらはどんどん不利な状況に陥り、コストが増してしまう可能性があります。

そのため、やはりこのままではいけないと判断したなら、まずは取引相手のビジネスを自社で内製化(内部化)する手段を検討します。現にこうして他社よりも安く販売している企業もありますね。

それ以外の方法としては、取引コストの低い海外へ進出することや、ITの進展、事業の分離や解体もあります。いずれにせよ、企業にとっては大きな決断になります。

やはり最初の取引先選びが肝心であり、失敗したと思ったら早めに切り替えるのが痛手が少ないですね。相手の上手い言葉に乗らず、きちんと契約書や重要事項説明書を読むのも大事です。もちろん、自社の契約書の見直しも必要です。

取引は”信用第一”。

自分も誠実であり、相手にも誠実を求める。お互いの信頼関係作りが一番の「コスト削減」になるのかもしれませんね。

投稿者: 麦ブログ

介護施設の事務員として働いてます。現在行政書士資格取得のため勉強中。

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