こんにちは、ムギです。今日は経済学からの話題です。
今回は「エージェンシー理論」をテーマにお話しします。
「エージェンシー理論」とは、組織における責任感や倫理観の問題(モラルハザード)がどうして起こるのか、そしてそれへの対処法を考えることを目的とした理論です。
以前お話したアドバースセレクションは、取引が成立する前に情報の不均衡(=非対象性)が原因で起こる問題でした。それに対し「エージェンシー理論」は、取引の成立後に「目的の不一致」と「情報の非対象性」が原因で起こる問題です。
組織でいう<雇い主>対<雇われ側>に起こる問題を取り上げているので、「プリンシパル=エージェント理論」とも呼ばれています。
<雇い主>は組織の目標を達成するために雇われ側に対して「一生懸命働いて欲しい」と依頼します。
一方<雇われ側>の中には「そんなに頑張らなくもお金は入るから手を抜こう」とする社員もいます(=利害・目的の不一致)。そういう人が多くなれば、会社はいつまで経っても業績が上がらない。雇い主はそんな雇われ側の一人一人の真意を理解できずに悩む(=情報の非対象性)。
このような問題は<雇い主>対<雇われ側>に限りません。<経営者>対<管理者>、<株主>対<経営者>でも起きます。
これらに共通するのは<プリンシパル側>は組織の利益のために大胆な戦略や改革を進めたいが、<エージェント側>は自己の利益のために報酬は求めるがリスクは取りたくないことで生まれる組織の歪みです。それにより組織としての合理性が崩れ、社会的責任を果たせなくなってしまうのです。
冒頭で述べたモラルハザードは「規律の喪失、倫理観の欠如した状態のこと」を指しますが、もともとは保険業界で使われていた言葉です。保険に加入することで、かえって危険への注意する意識が軽薄化し、結果として危険な事態を招くことに繋がるといったことが起きます。
プリンシパル=エージェント理論も保険業界のモラルハザードも、人が合理性を求めることで起きる問題です。
合理性を求めて起きる問題に対して「みんな仲良く」や「仕事なんだから」とか「会社のため」といった精神論で解決しようとするのはほぼ不可能です。
だからこそ、”仕組み”や”環境”を変えないといけません。
経営側であれば報酬の仕組みを見直すことも必要でしょう。また、同族企業が「目的の不一致」や「情報の非対象性」といった問題に強いことから、婿養子のような企業の外部と内部から選び抜かれた人を管理者に迎えることで改革を進められた企業もあります。
管理者側にできることは、社員一人一人の行動をチェックすることですが、人数が多くなると難しいです。
なのでアプローチとしては2つ。
①競争を重んじるところでは個人の成果が分かるように表やグラフにまとめる。しかし、それは公表せず(一番多い成績中間層の士気を下げないため)に管理者・上層部のみで共有し、各個人・チーム毎に対策する
②平等を重んじるところは、規律やマニュアルとして精査する。誉めることも注意することも個人を挙げずに朝礼や文書などで通知する
そして2つに共通して言えることは、リーダーにあたる人、そして管理者自らの管理を厳しくすることです。
上司やリーダーの行動は皆見ています。
リーダーが残業ばかりしていれば皆残業するようになります。リーダーの服務規程が崩れていれば皆少しずつ乱れていきます。リーダーが口先ばかりでいれば、皆会社を信用しなくなります。
経営陣や管理者は、まずリーダーの動き、強いては自分自身の動きから厳しくチェックしましょう。
<雇い主>と<雇われ側>
その壁を壊せた時、企業は新たなステージへ進めるのです。
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