こんにちは、ムギです。
今回は「ビジネスにおいて”知行合一”は可能か?」をテーマにお話しします。
”知行合一”とは「知ること」と「行うこと」は同じ心の良知(人間が先天的に備わっている善悪是非の判断能力)から発する作用であり、分離不可能であるとする考えを言います。
陽明学の言葉で割りと知られているとは思いますが、ちゃんと意味を理解している人は少ないのではないでしょうか?
特に「有言実行」の自分が発言したことを実行するという意味と同じだと間違われるようです。両者の違いは”良知”というところにポイントがあります。
例えば「道端にゴミが落ちていたら拾う」という命題について考えます。
有言実行では「道端にゴミが落ちていたら拾う」と宣言したのだから、行動に見せなければ信用を失います。そのためどんなことがあってもゴミが落ちていたら拾わなければならないという一種の”枷・ルール”になります。
しかし、知行合一はそもそも「拾わなければならない」なんて考えません。なぜならゴミを拾うことの”喜び”を知っているからです。これが”良知”です。
ゴミを拾ったことにより町が綺麗になった。誰かの役に立てた。これらから満足感を得ているのです。だから「ゴミを拾わなければ」と思う前に拾うのです。そこに知識と行動が表裏一体とはこのことを指します。
だからどんなに常識的といわれることでも、行動していないのは”知らない”ということになります。好きな食べ物は誰に命令される訳でもなく食べるように、良い行いは理屈などを抜きにしても行っているのが自然なのです。
さて、知行合一の意味を理解して頂いたところで私は「ビジネスにおいての”知行合一”はどういうことか?」について考えます。
それを考えるきっかけになったのはYouTubeにて養老孟司先生の動画を観たことです。
養老孟司先生と言えば医学博士であり解剖学者、東京大学名誉教授でおられる方です。著書には『バカの壁』『唯脳論』『「自分」の壁』などがあります。
そのある動画にて養老先生は、「入力と出力は絶えず繰り返されることにより人は学習している」とお話しされてました。その中で「文武両道」そして「知行合一」の言葉も出ました。文・知にあたるのが入力、武・行にあたるのが出力です。
この動画を観て、社会人として働く中で感じていたある”疑問”の正体が少し分かりました。それは「現場に出ている上司の意見に比べ現場に出ない管理職の意見はなぜこうも上手くいかないのか?」ということです。皆さんにも経験はあるのではないでしょうか?
そして、その疑問の答えこそが”知行合一か、そうでないか”だと私は考えます。
企業における「知」は業界知識はもちろん、店舗毎の数値管理、経営方針・政策、企業規則、顧客情報、業界の横の繋がりや関連事業との繋がりなどを指します。「行」は現場における日々の業務です。
企業となると、どうしても「知」は管理者が、「行」は現場スタッフと分離しがちです。しかし、この管理者も例えば店長や施設長のように現場で他のスタッフと一緒に働きながら店舗管理しているという人は「知」と「行」が合致しているとも言えます。個人経営者などもそうでしょう。
ビジネスにおいて「知」と「行」が分離すると起こりうる問題を挙げていきます。
- 現場からの「知」(現場間で起きている問題・顧客の生の情報など)を知らずに管理者が店舗の数値や業界の流れで判断して経営方針や政策を出すため現場との齟齬が生じる
- 会社が決めた経営方針・政策によるフィードバックが管理者に行かない。結局混乱するのは現場
- 現場は現場で何とか対応してしまうので管理者からみると「上手く行っている」ように思われる。結果が出ていなければ現状を把握しないまま努力不足の判定を下してしまう
- 管理者側の「知」(経営方針、マニュアル)の真意を現場が理解しておらず、管理者の指示が行われず独自なものへ変化してしまう
- 現場の「知」(知恵やノウハウ)を知らない管理者がたまに現場に入って口出ししたことにより現場の「行」が崩されてしまう
こういったことが続けばどうなっていくか。「知」と「行」が完全に分離され、現場は指示されたことしかやらなくなり、管理者は現場からの意見や生の顧客の情報を得られなくなります。「入力と出力が絶えず繰り返されることにより学習する」と先程言いましたが、「知」と「行」が分離されれば企業の成長は鈍くなり、やがて止まります。
こういった「居づらい職場」になれば、まず店長などの現場に近い管理職から居なくなり、それから主体的に動いていた現場のスタッフ程離れていってしまうでしょう。これは考えすぎでしょうか?
こうならないためには、「知」と「行」を分離させない必要があります。合一までできないにしてもそのループを円滑に回すことにポイントがありそうです。
つまりはCS(顧客満足)とES(従業員満足)の向上を図ることが先決になります。サービス環境の整備はもちろんサービスする側の福利厚生を整えてあげることがポイントです。特に店長などの現場に近い管理職を厚遇することも忘れてはいけません。コンプライアンス窓口を作るなど、パワハラ・セクハラ・モラハラをなくすための環境も作りましょう。
特に店長などの中間管理職は現場との架け橋になるのと同時に本社との架け橋にもなります。管理者側の知・現場からの知を共有し、意見交換ができる信頼関係が必要です。
そして、管理者側から得られる情報もできる限り現場スタッフにも共有しましょう。現場にも経営者目線で仕事する人が必要だからです。こうして主体的に仕事をする人がいれば、それが”やりがい”へとつながり、自立したチームになるのです。それこそまさに”知行合一な職場”と言えるでしょう。
そう考えていくと、やはり管理者側がいかに現場スタッフに”やりがい”を与えられるかがポイントになりそうです。
管理者側も現場は命令すれば動くという考えは捨てた方がいいでしょう。自分の手足ではなく、それぞれ生きた人間の集まりなのですから。
現場が納得して働くためにも、”知”の共有をする努力と、いかに”やりがい”を与えられるかが”良い職場”にするために必要なことではないでしょうか。
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