料理人は職人か、アーティストか

こんにちは、ムギです。前回に引き続き、現在の飲食業界に対して言及していきたいと思います。

今回は「料理人の仕事とは?」をテーマにお話しします。

”衣食住”と言われるように、食べることは生きるうえで欠かせないものです。マズローの5段階欲求でいうところの最初の段「生理的(本能)欲求」です。

現代ではお腹が空いたらコンビニで気軽に買いに行ける時代ですが、狩猟採集民族の時代、さらには貧困状態ではいつ食べられるか分かりません。そんな時は食べるものを選べません。

一方貴族や富裕層は食べられる選択肢が当然多いです。そうなってくると、庶民よりも良いもの、他の貴族よりも贅沢なものを食べて優位性を示そうします。晩餐会などがあれば、貴重な食材を使った豪華な料理が出されます。これらの記録が集まり、古典とも謂われる宮廷料理になりました。

また、貴族の中には御抱えの料理人がいる者もいます。貴族はその料理人に自分のためにオリジナルの料理を作らせました。そして、そういった貴族に仕えていた料理人が独立して店を開いたのがレストランの始まりであり、高級料理店として広まりました。

一方、庶民は安い食材、地元でよく採れるものを美味しくしようと工夫し、さらには飽きないようヴァリエーションを増やしてきました。これが家庭料理、地方料理と言われます。

この古典料理・宮廷料理の分類と、家庭料理・地方料理の分類はどこの国にもあります。世界三大料理の中国、フランス、トルコ料理にもこの分類はあります。

日本にもあります。和食でも洋食でも、ミシュランに載るような高級料理店や料亭、レストランなどがあります。そういったところは何かの記念日や祝日、所謂”ハレの日”に使われたり、給料が入ってちょっと贅沢したい時などに使われています。

そうやって今の外食産業は発展していきました。

しかし、国が不景気になり、所得が下がっていくとそういったレストランからは足が遠退いていきます。年々低下する客数に対し、昔から自分の店を開くのを夢に高級店で修行してきた者や、事業展開したい大手企業による供給過多が現在の飲食業界です。

まさに飲食業界はこれからの在り方を考えなくてはいけません。昔のままでは生き残れません。

大手企業はマニュアル化・効率化を進め、少ない労働力で多くの顧客に対し、同じクオリティで提供できるように対策を進めています。悪い言い方かもしれませんが、”工場”や”会社員”のようになろうとしています。

一方個人経営の店はどうでしょう?厳しい状況であり、個人の発信力や対応力には限界があります。この場合、大まかな方針としては次の通りです。

  • 飲食店の他にも収入源を得る
  • 少ない顧客でもきちんと利益を得られる仕組みにする
  • テイクアウト、物販、通販などを利用し、遠隔の方にも来てもらえる店にする

今挙げた三つは簡単なことではありませんが、やり方は案外多いものです。そこに気がついて判断・行動ができるかが鍵です。

ただ、自分の店を持ちたいと思った方というのは自分の料理を出したい、自分の好きなものを好きな場所で食べて欲しいと考えているわけです。無茶は出来ないけど、妥協したくないポイントはあるはずです。

ここで肝心になってくるのが料理人の職人としての性質とアーティストとしての性質です。

職人としての性質は高い技術力ということもそうですが、それ以上にいつ来ても同じクオリティというのが大事です。築地の卵焼き職人をイメージしてもらうと分かりやすいでしょうか?

もう一つのアーティストとしての性質こそ”自分の料理”、”自分の店”ということです。料理には味・盛り付け・食器・メニュー構成などの要素があり、店には立地・建物・テーブル・椅子・BGM・スタッフなどがあります。

まさしく料理というのは五感すべてで感じる”総合芸術”なのです。ただ、映画や舞台と違うのは、「食べて」こそ完成する芸術ということです。つまりは残らない芸術ということです。

どこの国にも古典料理を書き記した書物があります。最近では名のある料理人が料理本を出版しています。しかし、それはレシピやヴィジュアル、ストーリーが分かるものです。レシピは楽譜であり、楽譜を見るだけでは音楽を聴いたことにはなりません。

「作ったものを食べる」

当たり前なようなことを言っていますが、これが料理人の職人でありつつアーティストとしての難しさでもあります。だからこそ、後世にまで語り継がれるような料理人の生き様は本当に格好いいです。

しかし、全員が全員活躍できるわけではないのは、アーティストの世界と一緒です。僕のように大手企業のチェーンに入ったり、中には飲食業界から離れた人もいます。

大手企業のチェーン店に入っても、自分の店を開いても、続けていくのに必要なのはやはり最後は『人柄・店柄』ではないでしょうか?

「この店で食事したらこんなことをしてもらえた」

「素晴らしい記念日になった。」

「あそこの店で食べると何だか落ち着く」

「あの店の店員さんはいい対応をしてくれる」

料理・店・スタッフから誠実さ・やさしさ・喜びが感じられることが第一ではないでしょうか?まさに「おもてなし」の第一歩です。

「料理には人となりが表される」

これからの料理人は職人としての厳しさ、アーティストとしての独創性だけでなく、人格主義も大切にしなくてはいけないのではないでしょうか。

投稿者: ムギ

介護施設の事務員をやってる30代男です。商業高校卒業後、調理師専門学校入学、調理師としてホテルのフランス料理レストランに勤務。その後、地元のレストラン、漬け物工場、回転寿司屋、ステーキ屋と働き現在の職に転職しました。現在は介護福祉士の資格取得のため勉強中です。

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