こんにちは、ムギです。
今回は「なぜ理論が必要か」をテーマにお話しします。
理論のことを言う前に、経営学の学問としての立ち位置をおさらいしましょう。数ある学問の中で経営学は、経済学と同様に社会科学という分類に入ります。大まかな学問の分類は3つありますので要点を覚えておきましょう。
- 社会科学 ー 社会を対象とした科学(経営学、経済学)
- 人文科学 ー 人間を対象とした科学(歴史学、哲学)
- 自然科学 ー 自然を対象とした科学(物理学、化学)
社会科学の仲間には他にも社会学・人類学・政治学などがあります。要は集団としての行動や法則を切り口別に見ているのです。そして「実社会における企業」という切り口から見るのが経営学です。
ここでよく言われる文系、理系という分類も見ていきましょう。基本的に文系は社会科学、人文科学を担い、理系は自然科学を担っていると言えます。なぜこのように分類されているかというと、理論の表し方が違うからです。
つまり、
- 理系➡数式で表す
- 文系➡文章で表す
こう書くと理系の方が難しそうに思えるかもしれませんが、【曖昧さ】というのが問題になるのは文系です。
理系は所謂1+1=2のように数式は数字・記号・アルファベットで表せるのに対し、文系は「AはBに対し、Cの関係である」というように文章で表すのでどうしても曖昧さが残るのです。そして、その曖昧さが残るために特に理論になりにくいのが社会科学です。
例えば、「値下げしたから売れた」や「消費税が上がったから、客足が減った」は、理論のようで理論になっていません。「2×3=6」や「5-3=2」のような因果関係がはっきりせず、A<Bのように表せるものではありません。あくまでも「理論っぽいもの」です。
また、言葉は各人でイメージするものに違いがあり、はっきり伝わらない難しさがあります。「男性はアイドルが好きだ」というのは全ての男性にあてはまるものでもなければ、それぞれイメージするものが変わり、さらには「好き」という言葉にも人それぞれのニュアンスの違いがあります。これをさらに英訳や中国語訳するとまたさらに違うものが増えてきます。同じ小説や題材でも、訳者によって言葉が違うのを見たことありませんか?
そもそも理論とは「ある命題(仮説)に対して、どのように(how)、いつ(when)、なぜ(why)に応えること」です。そして、それを誰もが納得する説明にしなければなりません。「漏れ」や「抜け」があってはいけないのはどの学問も同じです。学者さんは大変ですね。
そうやって多くの学者が発見したものを私達は学んでいます。だからこそ歴史に裏打ちされた確かさがあります。
それでは経営学に話を戻します。
経営学者が作った確かな理論というものを私達が学ばない手はありません。しかし、そういった理論を知らなくても経営はできます。また、今みたいに大学に行くのが普通でなかった時代、学びたくても学べなかった人もいます。中卒で後に成功者になった経営者の話も聞きますよね。そういった人は理論とは関係なく、たまたま上手くいったのでしょうか。
そのヒントは先程少し触れました。それは「理論っぽい」ものは誰にでも作れるということです。
「値下げしたから売れた」や「消費税が上がったから客足が減った」は理論としては成り立っていませんが、理論っぽいものにはなっています。これは、実際に経営を続けていく中で見つけた各人の仮説です。こういう日はこれが売れる傾向がある、あの行事があった日はお客さんがよく入るなどのジンクスに近いものもそうです。これが正しい正しくないの話の前に、まずは仮説(命題)を立てるというのは経営の上で自然と出来てくることです。
理論っぽいものはやはり「漏れ」や「抜け」があります。しかし、皆さんは学者ではないにで、間違っていても問題ありません。さらに経験していけばさらにその理論っぽいものの精度があがってきます。
人文化学も社会科学も、文系も理系も、理論を追っていれば必ず辿り着いてしまうのが「ヒトってなんだろう?」という疑問です。人類学や哲学でもないのに、どうしてもこれを切り離して考えられません。だってヒトですから。そしてそれを考えるべきなのです。
これらは各人各様にあると思います。それは当然です。ヒトが違うのですから。その違うヒトが他のヒトを見てヒトってこうじゃないかって考えているのです。
経営者もビジネスマンも同じです。性善説、性悪説どちらが正しいか信じているかはヒトそれぞれです。
- ヒトは楽をしたい生き物だ
- ヒトは誰かのために尽くしたいと考えている生き物だ
- ヒトはみんなが持っているものを欲しがる生き物だ
- ヒトは自分のしたいことをする生き物だ
どれも真実のような、間違っているような曖昧な感じがします。しかし、それでいいのです。大事なのはまずは自分の仮説を持つことです。文系も理系も関係ありません。ヒトとは何かが分かっていない経営者に商売ができると思いますか?経営学を学んでいなくても成功した人はこの仮説を上手く立てられた人です。その仮説が正しかったか間違っていたかは死ぬ時に分かります。
その「ヒトとは何か」の仮説は自分で持っていると、自分の仮説を裏付けるような理論が自然と集まってきます。その中心だけは誰のものでもありません。ヒトとは何か、そして自分とは何かの答えは自分の中にしかないのです。
