こんにちは、ムギです。
皆さんはこちらの文言をご存じでしょうか?
「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい。」
こちらは夏目漱石の『草枕』の冒頭部分です。『我輩は猫である』『坊っちゃん』などと一緒に『草枕』も夏目漱石の初期の作品として有名です。その中でもこの文章はまさしく名文ですよね。明治時代に書かれたものですが、令和の現在をも表しているように感じずにはいられません。
職場でも人間関係に悩み、家にいても居場所がない、SNS上ではどこかしらが荒れている。疎遠社会と言われ、いくつものコミュニティが作られましたが、そのコミュニティの内と外の人間関係にまた悩まされています。現代人はこれを「ストレスフルな社会」と名付けました。ストレスのない社会は無理なのでしょうか?
しかし、ここで考えてもらいたいのは、「ストレス」が悪者みたいになっていることです。本当にそうなのでしょうか?
今回参考にしたのはケリー・マクゴニガル著の「スタンフォードのストレスを力に変える教科書」です。
ここでは簡単に要点をまとめます。
- ストレスは健康に悪いと思い込んだ場合に限ってストレスは”有害”になる
- ストレスの反応には闘争(逃走)反応、チャレンジ反応、思いやり・絆反応とある
- 幸せな生活にはストレスが存在し、ストレスのない生活は必ずしも幸せとはいえない
ストレスは本来、動物が危険から身を守るためにあるホルモンによる機能です。これが闘争、または逃走反応です。皆さんが思うストレスとはまさしくこれではないでしょうか。
しかし、現代人が命の危険な状況に日々さらされているかといえば、紛争地帯やジャングル、交通の激しい道にでも行かないかぎりはほとんどないはずです。それにも拘らず、誰かに悪口を言われた、上司に怒られた、部下が使えない、渋滞にはまったなどの要因に対し、闘争(逃走)反応を起こしています。違う誰かに八つ当たりしたり、自分を責めたり、時にはもう嫌だと自暴自棄になり望まれないことをする人もいます。また、そのストレスを適切に使うことができずに不快な気持ちだけを溜め込んでいれば、当然健康も害します。心理学で「ミスマッチ理論」と言われ、これこそがストレスに悪いイメージを持つ原因となっているのです。
ではどうしたらいいのでしょうか。それこそが別のストレス反応である、チャレンジ反応または思いやり・絆反応に変換することです。
チャレンジ反応は自信が強まり、進んで行動を起こし、経験から学ぼうとすることをいいます。経験から学ぶというのは「ストレス免疫」と言って、言葉通り一度体験したストレスに対して強くなります。
もう一つの思いやり・絆反応は勇気が強まり、進んで人のために世話をし、社会的な関係を強化することです。同じような境遇、悩みを持っている人同士集まって、時には愚痴を言いながら助け合い、励まし合った経験も皆さんお持ちではないですか?
このように、チャレンジ反応、思いやり・絆反応に変えることができたら、ストレスは不快なものではなく、むしろ動力源になるのです。もちろん、死にたくなるほど苦しいときは逃げることを選択するのも間違っていません。大事なのは、自分の意志で決断することです。
「そうは言っても、ストレスはあるより、ないほうがいいでしょ」
しかし、要点のところで言った通り、ストレスのない状態は、決して健康的ではありません。これを「ストレス・パラドクス」というそうで、人にとって暇・退屈はストレスよりもリスクなのです。これを聞いて何だか皮肉に感じるでしょうか?
さて、また皆さんに考えてほしいのは、どうして人それぞれストレスの感じ方が違うのでしょうか?
例えば、友達の悪口を言われて傷つく人と傷つかない人っていますよね。言ったほうはただに愚痴のつもりだし、自分のことを言われたわけでもないのにイライラしたことはありますか?また別の例、「何でこんなことにこだわるの?」と言われて「あっ、確かに」って思う人と「うるせぇな、ここが大事なんだよ!」って思う人いますよね?
それぞれの答えで、何で自分はイライラしたんだろう?何で気にしないのだろう?と考えてみてください。
もちろんこれはどう答えたらいいか悪いかの問題ではありません。
ストレスを感じたことには、その人の意義・生きがい・価値観というものが関係していて、それぞれ違うということなんです。自分がどうでもいいと思っていることにはストレスは感じないのです。
だからこそ、こういう時はこう、ああいう時はこうするのが正解と決めるのではなく、まず自分の価値観・生きがいが何なのかを理解することが大事なのです。そして、それは他人も同じだと考えたり、押し付けてはいけないことなのです。
ストレスフルな環境では生産性は下がると科学的根拠もでています。さらに、様々な働き方が求められ、終身雇用の制度も崩れている今、各種企業も福利厚生や有給休暇などを改善しようと努めています。しかし、それぞれの時代の価値観、会社の価値観、そして他人の価値観を認め会えないかぎり、本当の意味でのハートフルな社会は来ないでしょう。
「ストレス」という言葉が前向きな意味になったとき、ようやく生きやすい世の中に変わるのではないでしょうか。
皆さんがストレスを糧に前向きに行動できるようになることをお祈りします。
(本当に心苦しいほどのストレスを感じている方は、今日ご紹介した「スタンフォードのストレスを力に変える教科書」を手にとってみてください。カウンセリングのようなエクササイズとかも実際に載ってますので、ぜひ行ってみてください。)

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